平成24年度観艦式予行２(その１)

平成２４年１０月１１日、相模湾にて行われた第２７回観艦式（予行２）です。観閲付属部隊に配された潜水艦救難艦「ちはや」からの撮影です。

乗艦した「ちはや」の横に接舷していた護衛艦「やまゆき」の艦橋部。写真右上には上方左右に備えられた20mmCIWS機関砲が、そのさらに右奥には4連装SSM発射筒が見える。

海上保安庁の大型巡視船「やしま」。当日参加ではないが、第3管区（横浜港）に所属している。常備排水量約5,300ton、全長130m、速力23ノット。

訓練支援艦「てんりゅう」。護衛艦の対空射撃訓練を支援する。そのための無人標的機が後部甲板上に展示されている（右）。

護衛艦「あたご」。平成19年（2007）3月竣工の最新鋭イージス艦。基準排水量7,700ｔ、全長165m×全幅21.0m。ガスタービン4基100,000馬力で速力は30ノット。「こんごう」型の発展型で、ヘリコプター格納庫を備え、SH-60K/Jを固有装備できる。ミサイル垂直発射機（VLS）は艦前後で計96セル、SSM4連装（最大）発射筒×2、20mmCIWS機関砲×2、3連装単魚雷発射管×2、そして、米国のMk.45 mod4 62口径5インチ砲のライセンス型砲1門を備え、一般的な長射程砲としても有用であるが、ロケット推進で助力しINS（慣性航法装置）とGPSにより最長130km遠方に正確に着弾できる新型砲弾を使用できるようになっている。

観閲部隊として隊列編成中のヘリコプタ護衛艦「ひゅうが」とイージスシステム搭載護衛艦「あたご」。写真右上にはかすかに富士山が写っている。

ヘリコプタ搭載護衛艦「ひゅうが」。横から見た形状はあたかも空母であるが、甲板強度ほかの理由で固定翼機は運用できないとされる。基準排水量13,950ton、満載排水量約19,000ton、全長197m×全幅33m。SH-60Jほか対潜哨戒ヘリを3機同時運用でき、メインローターを畳んだヘリコプターを最大11機搭載できる。

観閲部隊で観閲艦（10月14日（日）に野田内閣総理大臣が座乗した）護衛艦「くらま」。艦齢は30年を越えるが、ヘリコプターを3機搭載できるため、幾度もの改修により優れた対潜作戦能力を有する。「こんごう」型イージス護衛艦の登場まで最大の護衛艦であった。

イージスシステム搭載護衛艦「ちょうかい」。平成10年（1998）就役。同型艦は4隻で、全て対水上、対空、対潜以外に弾道ミサイル防衛のためにスタンダードSM-3ミサイル搭載運用の改修工事が行われている。基準排水量7,250ｔ、全長161m×全幅21.0m。垂直発射機（VLS）は艦前部に29セル、後部に61セルがある。

観閲が始まったところ。乗艦「ちはや」は観閲付属部隊所属。前を進むのは試験艦「あすか」と先導する護衛艦「いなづま」。右の受閲艦艇部隊の先頭を進むのは自衛隊最新の護衛艦「あきづき」（右端）。それに続き、「はたかぜ」、「しらね」、「たかなみ」、「おおなみ」、「はるさめ」、「いせ」、「せとぎり」と続く。

護衛艦「あきづき」。僚艦防空を意識した最新型護衛艦で、「あきづき」1隻だけが就役（2012年3月）しているが、今観艦式時点で、既に4番艦までの予算が成立している。基準排水量5,000ton（満載排水量6,800ton）、全長150m×全幅18.3m、ガスタービン64,000馬力で速力30ノット。MK.45 62口径5インチ砲×1、20mmCIWS機関砲×2、90式SSM 4連装発射筒×2、ESSM（発展型シースパローミサイル）または07式対潜ミサイルを発射できるMk.41 VLS（32セル）、3連装短魚雷発射管×2、そしてSH-60K哨戒ヘリコプタ1機を搭載する。

「はたかぜ」（手前）と「くらま」。「はたかぜ」は1986年（昭和61年）就役、「くらま」は1981年（昭和56年）就役の古参艦である。ともに5インチ単装砲を2基備え、海外ほかから外見的に強そうな艦、と映るそうである。「はたかぜ」はスタンダードSAMを、「くらま」はシースパロー短SAMを、そしてともに20mmCIWS機関砲等、近代化装備は備えている。

上掲の「くらま」のネームシップ「しらね」。2007年末にCIC部を火災で全損したが、2009年に退役した「はるな」のCICを移載し、現役を続けている。自衛隊の最古参護衛艦で主機は蒸気タービン式である。ヘリコプターを3機搭載し、幾度もの改修により対潜能力は高い。基準排水量5,200ton（満載排水量6,800ton）、全長159m×全幅17.5m。主機70,000馬力で速力は32ノットと公称値としては高い。

護衛艦「はるさめ」。「むらさめ」型9隻の2番艦。平成9年3月竣工。基準排水量4,550ton、全長151m×全幅17.4m、ガスタービン60,000馬力で速力30ノット。

「あきづき」型に続いて最新型のヘリコプター搭載護衛艦2隻の「いせ」（左）と「ひゅうが」。それぞれ平成23年、21年の春に就役した。基準排水量13,950ton（満載排水量約19,000ton）、全長197m×全幅33m、ガスタービン100,000馬力、30ノット。Mk.41 VLS発射機（16セル）、20mmCIWS機関砲×2、12.7mm単装機銃×7（適宜）、3連装短魚雷発射管×2。ヘリコプタは最大約11機を搭載でき、同時3機の離発着を管制できる。続く艦は、平成27年度以降に「しらね」型の代艦として基準排水量19,500ton（満載排水量は計画で27,000tonに達する）、全長248m×全幅38mのかつての戦艦にも匹敵する大型艦が着工されている。

潜水艦「けんりゅう」。「そうりゅう」型4番艦。平成24年3月就役。海上自衛隊の在来潜水艦の十字尾舵に対し、X字尾舵となっている。基準排水量2,950ｔon、全長84m×全幅9.1m。主機関にはディーゼル2基と新たに出力75kW（102馬力）のスターリング機関（ケロシン（ロケット燃料などに多用される軽油より軽い石油系燃料）と酸素を燃料とする）4基を搭載することで、非大気依存型推進が特徴となり、従来数日であった低速潜航期間が2週間程度になったとされる。8,000馬力（約5,900kW）の交流同期電動機1基で水中速力は20ノット。乗員は65名。

掃海母艦「ぶんご」。「うらが」型2艦の2番艦。機雷敷設装置一式、掃海艇への補給支援能力を備える。基準排水量5,650ton、全長141m×全幅22.0m、22ノット。乗員約160名。

掃海艇「あいしま」。平成16年2月竣工。基準排水量510ton、全長54m×全幅9.4m。ディーゼル1,800馬力、速力14ノット、乗員45名。機雷の高性能化に対応するため、海外の実績ある情報処理装置、機雷処分具などを導入。可変ピッチプロペラ、バウスラスターなどによる運動性能や定点保持性能も向上させている。

掃海艇「えのしま」。平成24年3月に竣工した「えのしま」型のネームシップ。それまでの自衛隊掃海艇全てが木造であった船体をFRP製にしており、FRP船としては世界最大級である。装備としても、ホーミング機雷等の高性能な機雷に対応した対機雷戦情報処理装置を備える。基準排水量570ton、全長63m×全幅9.8m、ディーゼル2,200馬力で速力は14ノット。、

「ひゅうが」と輸送艦「くにさき」。」。「おおすみ」型3隻の3番艦。艦尾が大きく開閉し、続く写真の輸送用エアクッション艇LCAC 2隻で戦車、機材や兵員などを揚陸させる。また後部に2機分のヘリコプター発着場、前部に車両などを積み、その間を連絡させるため、艦橋を右舷に寄せている。搭載甲板には2基の大小エレベーターが設置されている。90式戦車（50ｔ）なら10両と陸上自衛隊の普通科3個中隊（330名）を運ぶことができる。充実した医務室、広い艦内には1,000人程度の収容もでき、災害派遣などでの使用が考慮されている。基準排水量8,900ton、全長178m×全幅25.8m、26,000馬力、22ノット。20mmCIWS機関砲×2基。平成15年3月就役。

「おおすみ」型輸送艦などに搭載されているホバークラフト型輸送用エアクッション艇LCAC（Landing Craft Air Cushion）。「おおすみ」型輸送艦の後部に本艇が２隻収容される。基準排水量約85ｔonで最高速度はガスタービン4基15,500馬力で速力約40ノット。その駆動方式から、騒音もかなり大きい。90式戦車（50ｔ）等の搬送が可能で、大型輸送艦の運用性を大いに高める。満載排水量は約180ｔon、全長26.8m×全幅14.3m（共にエアクッション展開時）。固有乗員は５名。揚陸は、着岸・着底後、前端の起倒式扉を倒して行う。

ミサイル艇「しらたか」。」。「はやぶさ」型の6番艇。船体には軽合金が採用され、基準排水量200ｔ、全長50m×全幅8.4m。ガスタービン16,200馬力でウォータージェット推進により速力44ノット。兵装はSSM連装発射機×2、62口径76mm速射砲×1。平成16年3月の本艇竣工で6隻の建造が終っているが、日本の広い沿岸哨戒、警備に、同型または改良型の追加建造を望みたい。

オーストラリア海軍フリゲート「シドニー」（SYDNEY）。排水量4,200ton、全長138m×全幅14m、ガスタービン41,000馬力で速力29ノット。1軸推進であるが、350馬力の非常用旋回式スラスタ2基を備える。76mm単装砲×1、20mmCIWS機関砲×1、ESSMミサイル用Mk.41VLS（8セル）、Mk.13単装発射機（スタンダードSAM、ハープーンSSM用）×1、3連装短魚雷発射管×2、ヘリコプターは2機搭載できる。

シンガポール海軍揚陸艦「プレジステンス」（PRESISTENCE）。シンガポール海軍が備える「エンデュランス」（Endurance）型LPD式輸送艦4隻の3番艦。排水量8,500t、全長141m×全幅21m。速力15ノット。搭載できる18両の戦車、20両の軽車両ほかを、ウェルドック内格納の25m輸送艇2隻、ダヴィッドの13m輸送艇4隻で揚陸させる。兵装はミストラル対空ミサイル連装発射器×2、OtoMelara76mm速射砲×1、M242-25mm機関砲×2、12.7mm4丁を備える。ほかに輸送用ヘリ（AS332Mスーパーピューマ、CH-47SDチヌーク等）2機を搭載できる。

アメリカ海軍ミサイル巡洋艦「SHILOH」（シャイロー）。基準排水量約7,700ｔ（満載排水量約9,500ｔ）、全長約173m×全幅16.8m、ガスタービン約80,000馬力で最大速度は30ノット以上。兵装はMk45 5インチ単装砲×2基、Mk41 VLS（61セル）×2基、ハープーンSSM 4連装発射筒×2基、20mmCIWS機関砲×2基。ヘリコプタ2機が着艦可能。